家族と一年誌「家族」×石田真澄 『東川町取材日記』第二回

2月21日からCOMINGSOONにて開催予定の
北海道 東川町 ×『家族』「よりそう移住、東川町」に併せて
『家族』が石田真澄と東川町を旅した記録を随時更新。全6回を予定しています。


家族と一年誌「家族」×石田真澄
『東川町取材日記』

文章「家族」編集長 中村暁野 / 写真 石田真澄

旅のメンバーは「家族」編集部こと中村ファミリー(父・俵太、母・暁野、娘・花種、息子・樹根)、写真家の石田真澄ちゃん、coming soonスタッフ飯ヶ谷さん。さらに現地で東川町定住促進課・課長の吉原さんや、親切なお店の方々に手を差し伸べてもらって過ごした2泊3日の記録です。

 

〜2日目〜

重い身体(前日食べすぎ。1日目参照)をなんとか起こし、集合した取材チーム。ちなみにひがしかわ暮らし体験館」は家族4人、悠々眠れる2ベッドルームでとてもとてもありがたかったです。朝日が昇ってしまう前に、目指すはキトウシ山。なんとかぎりぎり、間に合った…のか?

夜の間に降り積もった雪で、足跡ひとつない真っ白の銀世界。これはぜひ、写真に捉えていただきたい美しさ!真澄ちゃんも「やばい〜〜〜」と盛り上がってるし、早起きして来てよかった、と微笑んでいるところに、大きな音をたて除雪車が到着…。わたしたちの目の前で雪をかきかき地面を露出させていくではありませんか。「ああああ〜〜〜〜〜!!!」と思わず叫んでも、もちろん容赦なく。壊されていく銀世界…。あああ、あと10分早く到着していれば…といっていても仕方がないので、場所を移しましょう。キトウシ山は広いのです。

雲の間から覗いた太陽が雪を照らす中、巨大風船を膨らまし、遊ぶことに。

積もった雪の中から小枝等が飛び出ていることもあるので、落ちたら割れそう。落としてはいけない風船ゲーム、盛り上がります。なんせ雪に足をとられて思うように動けない。

最後はやっぱり小枝で風船が割れ、終了。みんな息切れ…。

「まだ遊びたかった!」と娘・花種さんと息子・樹根くん。さすが子ども。大人は疲れたよ(早くも)限界よ。温かい何かを注入しないとよ。ということで東川郊外(といっても車だとすぐ)にある「Wednesday cafe&bakeへ。古い倉庫を改装した店内で、東川産の米粉を使ったカヌレとコーヒーにありついた我々。

運動の後の甘い物、最高。お店一押しのもっちりカヌレのほかに多種のグラノーラなど、子どもががっつくメニューたくさん。ほっと一息ついて、町の中心地にある複合交流施設せんとぴゅあ」に向かいます。

明日取材をさせてもらう予定のliko organic caféオーナーご夫妻主催のイベントが、タイミング良く開催されるらしいと聞き、行ってみたいと思っていたのです。東川町の気になっていたお店が多数出店していて、ライブやワークショップもあり楽しそう。たくさんのお客さんでいっぱい!の中、

焼き菓子tekago」の焼き菓子や、「ちゃみせ」のおにぎりなど気になるものを購入。

会場で東川町定住促進課・課長の吉原さんと今日も再会。出店しているお店の方々に声をかけている姿に人柄を感じます。

ゴミを出さないことをテーマにしていたこのイベント。お客さんはマイカップ、マイ皿、マイフォークなどを持参し、自分の器に食べ物や飲み物を入れてもらって楽しんでいましたよ。

 

イベント会場を出て、『家族』編集部としてはぜひ訪れたかった、あるお店へ。並んだ家具、雑貨、洋服…それらの置かれ方からも、メッセージを感じるようなお店Less HIGASIKAWA

もともと家族と一年誌『家族』を取り扱ってくれていて、オーナーさんとはメールでやりとりしたことがあったのです。

オーナー浜辺さんは、はじめましてとは思えないほど気さくな方。取材していることを伝えると「いろんなところ紹介したい!」と、嬉しすぎる言葉。予定が空く夜に、急遽ご飯を食べる約束をしてお店を後に。

 

Lessのお隣にある「ゝ月庵は1957年創業の老舗の洋菓子屋さん。米粉のシフォンが美味しいらしいよ…ともちろん吸い込まれていく我々。かわいいケーキを前に心揺れつつ、初心を貫き、米粉のシフォンを購入!プラス絹ロールという名の米粉のロールケーキも。買ったらすぐに開ける!

すぐに食べる!はずが、絹ロールを一口も食べれなかったわたしの悲しみ…。

「ぜんぶ、じゅねの!」BY大食いモンスター

薄桃色の空の中車を走らせ向かうは「ヨシノリコーヒー」さん。雪道もだいぶビビらず、走れるようになってきましたね。

もともと趣味ではじめたはずのコーヒーが、あれよあれよといつの間にやらお店になっていた、という店主のヨシノリさんのただならぬコーヒー愛。

今は多数のスタッフも働く人気店のオーナーとして、夫婦で2店舗を切り盛りし、提供するのは厳選した豆と東川の天然水をつかったスペシャルティコーヒー。なんだろうこれは〜!どこまでも飲みやすく、どこまでも味わい深い。

こんなところにお店が?!というような田んぼの真ん中にあるヨシノリコーヒー。わざわざ東京からコーヒーを飲みに来るお客さんもいれば、農作業途中のおじちゃんも「一杯ちょうだい」とやってくる、ここはみんなに愛されている場所なのだなあ。

東川町ならではの、お店のあり方を感じながらとっぷり暮れた夜空を見つめる。

今夜の夕ご飯は、ON THE TABLE 。Lessの二階にあり、シェフは浜辺さんの弟さん。

雰囲気のよい店内。揃えられた自然派ワイン。だけどナポリタンやハンバーグなど昔の食堂のようなメニューもあって、何を頼むか迷ってしまう。

こりゃ間違いない、ジュウジュウのハンバーグ!

もともと東川町出身で、一度は出て行った東川町にまた戻ってきたという浜辺さん。近年人気の町として注目されるようになっている東川町ですが、ここに暮らす人たちが、そしてお店を営む一店一店が、何を喜び何を求めているのか。みんなで考えたり話したりしながら「自分たちの町」を作っていく。この町に流れている「いい空気」は、ひとりひとりのそんな意識によって築かれてるんだな、と浜辺さんと話していて思いました。明日の朝、イチオシだというおすすめ場所、お店までの案内役まで買って出てくれた浜辺さん…!感謝感激雨アラレ…!

話しこむ大人をよそに、娘・花種さんと真澄ちゃんはシェフにもらったミカンを食べながら、ガールズトークを繰り広げていた模様です。

またもお腹も心も満タンの夜。宿にもどって、2日間の取材を振り返り、飯ヶ谷さんと作戦会議。会議のお供にゝ月庵のシフォンケーキ切っちゃいますよ〜。

知ったこと感じたことをどうやってまとめていくか?

話し合い、夜は更けていきます。子供達と真澄ちゃんは、となりの部屋でお笑い番組を見て笑い転げています。2日にして、なんでしょうこの世帯間。一体感。これぞ『家族』チームの取材の醍醐味。

平らげたケーキを前に「東京に帰ったら絶食ですね」と飯ヶ谷さんのつぶやき。

さあ、明日はいよいよ取材最終日!


『家族』が石田真澄と東川町を旅した記録、『東川町取材日記』は以下よりご覧いただけます。

第一回目はこちらから☞『東川町取材日記』第一回

第二回目はこちらから☞『東川町取材日記』第二回

第三回目はこちらから☞『東川町取材日記』第三回

第四回目はこちらから☞『東川町の家族のはなし』〈桐原家〉

第五回目はこちらから☞『東川町の家族のはなし』〈中川家〉

第六回目はこちらから☞『東川町キッチン』

 

 

 

 

中村暁野 / なかむら・あきの

編集者、エッセイスト。一年をかけてひとつの家族を取材する、家族と一年誌「家族」編集長。家族にまつわるエッセイやコラムの執筆も手がける。夫と9歳女子、2歳男子、たれ耳うさぎのバターと一緒に、2017年から、山梨と神奈川の県境にある藤野へ移住。古い一軒家を少しずつ自分たちで改装しながら暮らしている。


石田真澄 / Ishida Masumi

1998年生まれ。
2017年5月自身初の個展「GINGER ALE」を開催。2018年2月、初作品集「light years -光年-」をTISSUE PAPERSより刊行。2019年8月、2冊目の作品集「everything with flow」を同社より刊行。雑誌や広告などで活動。