家族と一年誌「家族」×石田真澄 『東川町取材日記』第一回

2月21日からCOMINGSOONにて開催予定の
北海道 東川町 ×『家族』「よりそう移住、東川町」に併せて
『家族』が石田真澄と東川町を旅した記録を随時更新。全6回を予定しています。


家族と一年誌「家族」×石田真澄
『東川町取材日記』

文章「家族」編集長 中村暁野 / 写真 石田真澄

12月某日、羽田空港を朝7時の便に乗りびゅーんと2時間、降り立った北海道。

今回の旅のメンバーは「家族」編集部こと中村ファミリー(父・俵太、母・暁野、娘・花種、息子・樹根)、写真家の石田真澄ちゃん、COMINGSOONスタッフ飯ヶ谷さん。さらに現地で東川町定住促進課・課長の吉原さんが合流し、いざ2泊3日の取材の始まりです。

東川町は旭川空港から車で10分という便利な場所にある人口8000人の町。小さい町ながら、魅力的な人やお店が集まり、近年注目の的になっているのだそう。大きな魅力のひとつは「水」。ウォーター。地下水となって運ばれてくる大雪山の雪解け水が蛇口をひねれば出てくるという、全国的にもめずらしい上水道のない町なのです。(つまり水道代ただらしい)いつでもどこでも天然水!(しかもただ!)すごい!…と、思いつつも実際のところピンと来ていなかった取材メンバー一同。今回その魅力にも迫れるはず…!

移動は車が断然おすすめ。ということで、レンタカーです。空港でそのまま手続きできるので楽です。手続き中、こんもり積もったサラサラの雪に盛り上がる子供2人+真澄ちゃん。であったばかりの真澄ちゃんと子供達の距離は急速に縮まっている様子。

「あれ、子供が3人ですかね…?」と飯ヶ谷さん。

早くも高揚感マックス!

慣れない雪道、恐る恐る車を走らせ最初に向かったのは、ご夫婦2人で営んでいるパンやさん「まめや」。

もともと家族が食べるパンを…と焼き始め、今では地元の方のみならず旭川市からもお客さんが訪れる人気のパン屋さんに。おいしさの秘訣は道産の小麦、牛乳、自家製の天然酵母、そして東川の地下水と、できるかぎり良質な素材を使っていること。パンは種類豊富で、さらに良心的なお値段。朝9時からやっているので、朝ごはんにもちょうどよいです。我々もたんまり買い込み、もぐもぐ。

お腹を満たしたところで、「北の住まい設計社」へ向かいます。

1985年に東川町で生まれた「北の住まい設計社」は、北海道産の無垢材を使い、手仕事で家具作りをされています。アトリエは1928年に建てられた小学校。朽ちかけていた廃校を修理し再生したアトリエの中で、使う素材にも工程にも、こだわりぬいた家具たちが、職人さんたちの手によって作られています。アトリエのとなりには現在レストランとショップも併設され、平日でもお客さんがひっきりなしに訪れていました。地場産の有機食材を使った居心地のいいカフェ、日々をちょっと楽しくする質のいい品々、東川町産のはちみつや焼き菓子など、お土産にぴったりな品もならぶショップ。オーナーである渡辺恭延さん・雅美さんご夫妻が思う「豊かな暮らしとはなにか」が場所全体で体現されているよう。雅美さんにお話を聞かせてもらい、アトリエを案内してもらいました。家具を作るということは、どういうことなのか。わたしたちが選ぶひとつひとつの家具の背景にある、環境や消費の問題。そんなことまで見つめながら、愛情と信念を持って家具を作られていることをヒシヒシと感じた時間。

充実の時間の後は、レストランでボリュームたっぷりのランチをいただき、ショップを物色。その佇まいから、一見子連れには厳しいかと思いきや、キッズチェアやキッズスペースもあり、またレストランとショップの間には小さな小川や森があったり、大人も子供も夢中で時間を過ごしてしまう、そんな場所だった…!

「北の住まい設計社」さんを出て、東川の町が一望できるというキトウシ山へ。キトウシ森林公園とも呼ばれる広大な自然の中で、四季を存分に感じられ、温泉、スキー場、長期滞在も可能な宿泊施設もある、家族で訪れるのにぴったりな場所。

丘の上に馬。寒くないかい、お馬さん。12月の東川町の最低気温はマイナス10度前後。それでも不思議と身を縮めるような寒さを感じないのは、湿度がないから?澄んだ冷気はむしろ心地良さを感じるくらい。

ここで朝日を見たらきれいそう!と一同盛り上がり、明日の朝の予定が決定。

 

町のメインロードに戻り、訪れたのは「東川小学校」。

自然光が差し込むように設計された壁のない平屋作りの校舎、設置されたソーラーパネルで電力の一部を賄っている、全校生徒が集まって食べる給食で使うお米や野菜の多くは校庭にある畑で育てている、教室で使う机と椅子は地元の木工作家さんの手作り…と数々の特色を事前に聞いて、行くのを楽しみにしていた小学校。

学童施設+地域交流センターゆめりんも一体となった横にながーーーい校舎は、小学校には見えません。

ひろい!美しい!

決して子供の数は多くはないはず(だって人口8000人の町)だけど、どんなところにお金を使っているか、この町が何を大切にしようとしているか、この小学校を見たら感じられる。

東川町では町をあげた子供たち一人一人にむけた取り組みがたくさんあるのです。誕生日と名前が刻印された椅子がプレゼントされる「君の椅子」なんて、ほんとに東川町生まれの子が羨ましくなってしまう。ちなみに中学で使う机と椅子も木工作家さんの手作りで、生徒は3年間使った椅子を卒業時にもらうのだとか。

気づけば夕刻近く。ここでいったんお宿にチェックイン。今回泊めていただくのは「ひがしかわ暮らし体験館」。通常東川町にふるさと納税すると参加できる「株主制度」を通して宿泊できる施設。2LDKのアパートがリノベーションされ、東川町で作られた家具が置かれ、まさに暮らすように宿泊できる快適すぎるお宿です。持参した飲み物もきれ、喉がかわいていたわたし。お部屋についているキッチンの蛇口をひねり、コップに水を注いで飲んでみました…。おいしい。とてもおいしい…!蛇口からミネラルウォーターが出てくる素晴らしさを実感した瞬間でした。

しばしの休息の後、夕ごはんは東川町定住促進課の吉原さん、写真の町課の矢ノ目さんにお誘いいただき、「旬彩 ちば食堂」さんへ。

お昼は食堂、夜は居酒屋としてご夫婦で営まれているお店は、北の住まい設計社さんが設計。居酒屋というよりレストラン、というような空間で旬の野菜、お魚、土鍋で炊いたご飯…のめくるめくディナー。土鍋ご飯が美味しすぎて、娘の花種さん、4杯も食べた…。ごはんをたべながらも吉原さん、矢ノ目さんの「東川愛」の強さに胸うたれる。わたしたちが「行きたい」といったお店すべてを知っていて、「あそこは〇〇が美味しいんですよ〜」「あそこの〇〇さんはこういう経緯で東川に来てね…」と友達のようにみんなの歴史や事情も把握。そして全力応援体制。こんな人たちが移住希望から東川町での企業まで、相談にのってくれるのだとしたら心強いことこの上ない。こんな役場の方々、会ったことない…。

 

お腹はちきれんばかりにいただきまして、明日も早い(朝日を見にキトウシ山に行くんですもの!)ので解散。の前に、北海道限定コンビニ・セイコーマートに寄ってみた我々。セイコーマートオリジナル北海道アイスなど、ついつい買い込んでしまって、どうしよう。お腹がいっぱいなのに…。

取材は明日へ続きます!

続きはこちら、☞ 取材日記2日目

中村暁野 / なかむら・あきの

編集者、エッセイスト。一年をかけてひとつの家族を取材する、家族と一年誌「家族」編集長。家族にまつわるエッセイやコラムの執筆も手がける。夫と9歳女子、2歳男子、たれ耳うさぎのバターと一緒に、2017年から、山梨と神奈川の県境にある藤野へ移住。古い一軒家を少しずつ自分たちで改装しながら暮らしている。


石田真澄 / Ishida Masumi

1998年生まれ。
2017年5月自身初の個展「GINGER ALE」を開催。2018年2月、初作品集「light years -光年-」をTISSUE PAPERSより刊行。2019年8月、2冊目の作品集「everything with flow」を同社より刊行。雑誌や広告などで活動。